たまたま本屋で見つけた本だけれども、面白かったので、すぐに読了しました。
以前に読んだ本田宗一郎氏の本が面白かったので、その相方の本も読み、両方の本を読んでこそ、理解が深まるというものです。
本田宗一郎氏と藤沢武夫氏の二人は、戦後の技術者と経営者の名コンビとして有名です。他に、ソニーの盛田昭夫氏と井深大氏も有名ですけれども。現代のIT企業だと、ギークとスーツの関係というのでしょう。
本棚を探したら、昔読んだ本がありました。けっこう読んでいたんだなと思います。
好きな理由
私が本田宗一郎氏と藤沢武夫氏の本を好きなのは、なぜかと考えますと
- 夢があるから。
- 本田社長に対する藤沢副社長の役割りが、社長に対する税理士の役割りを考えるヒントになるから。
面白かったところ
以下、面白かったところを断片的に列挙します。
私よりももっと金を持っている人に会ったら、本田の夢は叶えられたかといえば、そうではないと思います。
私はなにしろ仕事がしたかった。自分の持っている才能の限界を知りたいということが、私の夢だった。そして本田も、自分の持っている力を知りたいということですね。
私が始めて税金を払ったのは昭和12年です。その頃、1年に1200円以上の収入があると税金を払う身分になります。小石川税務署まで行ったのですが、署員は30人から40人しかいない。ここでお金を払ったときの気持ちのよさを思い出します。
生産企業は生産企業なんですから、為替差益なんかで金儲けをしちゃいけない。だから、私は本業以外のもので金儲けをしてはいけないという原則を、本田技研でつくってしまったのです。
…私はやろうと思えばできないことはない地位にいた。しかし、どんな場合にも本業以外で儲けることはやりませんでした。
個人でもやりません。株にだって手を出せないわけはないんですが、私はやりません。自分の身のまわりはいつもきれいにしている。だから、みんながついてきてくれる。
一人で引き籠りました。そこで、日本のいろいろな企業の経営分析をやってみました。要するに、経理担当者の分析とジャーナリストの分析と経営者が分析するのがみな同じなのはおかしいのではないか、と思ったのです
自分はこれだけ仕事をしたということが、事務屋の誇りになる。だから、ひとりで書類を抱えこんでしまって、他人の手に触れさせたがらないものです。…そういう状態では、その人が休んだときには仕事が停滞する。
(一桁まで)全部を必要とするのは経理だけです。現場では、…いちいち数字を書かずにグラフ化する。
創業期の会社にはあまり優秀な人は入ってこない。企業が成長して、実績ができて、まして有名になってくれば、人材は集まってくるだろう。そのときまでに…階級をつくってしまうと、身動きがとれなくなって、将来に禍根を残すだろう。
重役は何もしなくていい。おれもそれでやってきた。何もないゼロのなかから、どうあるべきかという問題を探すのが重役の役目で、日常業務を片付けるのは部長以下の仕事だ
アメリカなどでは、早くから受注生産産業から脱却して、…見込生産産業をやってきている。
△ 戦後に、受注生産から見込生産に移行することが、大きな冒険だったらしいです。
貸さないところに借りに行くバカはいない。貸すようにさせてから借りに行くのが原則です。銀行というのはそんなにレベルの高い商売じゃありません。企業の先が見えるくらいだったら、銀行屋などやっていませんよ。
中小企業から脱却しようというときに、いちばん大切だといまにして思うのは、手形の発行を三菱以外ではしなかったことです。…金の流れが主力銀行にはっきりわかるようになっていたわけです。 これが主力銀行を非常に安心させる原因じゃないかと思います。
本田は金もないのに便所をまっさきにきれいにした人なんだ。その思想を汲めば、事務所が汚くていいはずがない。
経営の教科書として使える箇所がいくらでもありそうです。この辺で止めておきます。
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