税理士はよく公認会計士と間違えられます。世間から見ると、両者の違いがよくわからないものです。そこで、前提知識ゼロの人のために、税理士と公認会計士の違いをご説明します。
専門分野
税理士は、税金と会計が専門分野です。公認会計士は、会計と監査が専門分野です。会計が共通で、税金と監査が違います。
クライアント
専門分野は似たようなものですが、クライアント(お客様)の層がまったく違います。税理士は、中小企業と個人をお客様としています。公認会計士は、監査を必要とする大企業をクライアントとしています。
余談ですが、これらの業界では、お客様のことを英語でクライアントといいます。普通の商売では、カスタマーといいます。どう違うのかは、私にはよくわかりません。
体質
クライアントが違うこともあり、体質も異なります。
税理士は、自営業者な体質です。小規模な税理士事務所が多いです。大きい事務所に勤めていても、独立開業する可能性があるからです。
公認会計士は、エリートサラリーマンな体質です。公認会計士業界は、大手監査法人が寡占状態です。3次試験のためにも、まず大手監査法人に就職するのが、通常のキャリアです。
※ エリートサラリーマンというと、ちょっと嫌みなニュアンスがあるかもしれませんが、 そういう意図はありません。
資格の優劣
世間一般には、公認会計士の方が、税理士より格が上とされています。公認会計士は、希望すれば税理士にもなることができる点から明らかです。これを運転免許に例えると、公認会計士は普通自動車、税理士は原付、のような関係になります。ただ、税理士を原付だというと、それはちょっと貶めすぎていると感じます。
私見としては、資格は、上下関係ではなく、分野の違いです。世の中は、上下よりも、分業で成り立っている要素が大きいと思いますが、いかがでしょう。
資格試験の難易度は、最近、どちらが難しいのか私にはわかりません。最近の公認会計士は、弁護士同様に合格枠が増えているからです。
それから、これは重要なことです。公認会計士で独立している人は、実際のところ、ほとんどが、税理士業で収入を得ています。
あとがき
ここまで読んでいただくと、税理士と公認会計士の違いがイメージできるようになったでしょうか。人にお話しして好評だったので、文書化してみました。
番外編
ときどき、税理士を計理士と呼んでしまう方がいます。計理士は昭和23年で終わっています。わざわざ間違いを指摘したりはしませんが、さすがに、計理士は古すぎると感じます。お客様にとっては、こちらが考えているほど、資格は重要ではない。資格よりも実力が必要だという教訓にしています。
CreativeCommons Attribution-NonCommercial-NoDerivs License, Ken Douglas
匿名 2009-06-19 21:02
税理士は会計の専門家ではありません。
専門職 2012-02-05 16:37
クライアントとは、職業専門家(プロフェッショナル)におけるお客さんを言い、そのお客はプロフェッショナル・サービスを求めています。プロフェッショナル・サービスは属人的な判断が必要とされ、したがってそこには商品のように2個なら2倍の値段といった掛け算が成立しません。そして、プロフェッショナルにはそれ特有の職業倫理があります。ご参考まで。
長谷川 俊樹 2012-02-06 09:10
専門職さん
コメントありがとうございます。参考になります。