前回の続きです。
» サービス業の時間による原価計算:はじめに
まず、手順を簡単に書きます。
- サイボウズOfficeで時間を入力する。
- サイボウズからCSVファイルを書き出す。
- エクセルでピボットテーブルを使って集計します。
時間の入力
同じお客様に複数のサービスを提供することもあるでしょうが、そこは省略します。お客様の会社名ごとに原価を算出します。このとき、事前に会社名を登録しておくことが大切です。
私達は、30分単位で書いています。例えば、10分仕事をしても、切り捨てて0分にします。20分仕事をしたら、切り上げて30分にします。もし、アメリカのように、タイムチャージで報酬を請求するのでしたら、こんな適当なことは許されませんが、内部での原価計算ですから、自由です。外には出しません。
それと、作業時間の集計が目的ですから、開始時間と終了時間がずれていても問題ありません。例えば、1日仕事をしたとすると、午前と午後と2回に分けて入力するのは面倒ですから、お昼休みが1時間だとして、朝から終了1時間前まで仕事をしたことにしておけばいいのです。
厳密さ・正確さを追求せず、ほどほどに、楽にやっておくことが、軌道に乗せる秘訣です。
また、運用の話になりますが、間接時間は書きません。例えば、掃除している時間とか、研修を受けている時間とか、社内の雑用をしている時間です。遊んでいるのではないのですから、うるさく追求しないことです。導入に拒否反応がでてしまったら、貴重なデータが収集できなくなります。
これで、みんなで普通にサイボウズを使っているだけで、以下のデータが蓄積されていきます。
何日の何時から何日の何時まで、誰が、どのお客様の仕事をしたか。
CSVファイルの書き出し
原価計算をしたくなったときにサイボウズからCSVファイルを書き出します。管理者権限が必要です。
サイボウズOfficeのフッターの「システム設定」
システム設定(詳細)タブの下の方、各アプリケーションの「スケジュールと設備予約」
スケジュールと設備予約の「CSVファイルへの書き出し」
後は、条件を設定します。
- 参加者は、必ず全員を追加します。誰も選択しないと、何もデータが出てきません。
- 設備は関係ないので何も追加しません。
- 期間は、やり方によります。私の場合は、最終的に1年に1枚のエクセルの表を作るので、期首から現在までを指定します。
- 先頭行に項目名を書き出すにチェックしておきます。
書き出すボタンを押したら、schedule.csvが作成されます。
ピボットテーブル
schedule.csvをひな形となるエクセルファイルのワークシートにコピー・ペーストしたら、開始時刻と終了時刻の差の式で、すべての行に作業時間を出しておきます。時刻の差は、単位がdayなので、*24してhourに変換します。分は10進数の小数点以下で表します。例:30分=0.5
=(E2-C2)*24
scheduleデータの隣のワークシートにピボットテーブルを作ります。エクセルのピボットテーブルが何かについては、すいませんが、他で調べてみてください。ひとことで言うと、簡易なデータベース的集計機能です。
» ピボットテーブル – Google 検索
完成したピボットテーブルと付随する式は、以下のようになります。
単価A | 単価B | 単価C | ||
Aさん | Bさん | Cさん | ||
X社 | 時間合計 | X社原価 | ||
Y社 | Y社原価 | |||
Z社 | Z社原価 |
ピボットテーブルではない部分は、単位と原価です。
- 単価は、別に計算して入力します。
- 原価は、時間×単価を合計する式です。
1年間のピボットテーブルが完成したら、原価の右側に売上高を入力して、売上総利益と利益率を計算する式を書きます。
おわりに
かなり簡略化した原価計算ですが、まずは、数字を出せるようにすることが重要だと思います。あとは、このデータをどう経営に役立てていくかという問題になります。