さて、前からブログ記事にしたいと考えているネタがあります。サービス業の原価計算です。話が長くなりそうだし、きちんと文章にまとめるのは大変だな、と躊躇していたのですが、知人から尋ねられたので、これをいい機会として、見切り発車で書いてみようと思います。

原価計算とは

管理会計(経営のための会計)の1分野です。一般的には、製品1個の単価を計算します。1個作るのにどれだけの費用がかかるのかを知ることは、経営にとても重要です。原価計算は、大きく二つの役に立ちます。

  • 売値を決める参考になります。
  • 売上から原価を引いて売上総利益を求めることができます。

私は受験生時代にかじっただけなので、理論的なことは詳しくわかりません。経営上こういう数字がほしいのだが、どうすれば、その数字を出すことができるかという必要性の観点からアプローチするだけです。

原価計算もし、本格的に勉強したい場合は、この教科書が有名です。受験界の三大枕の一つとか呼ばれてました。

ネット上なら、以下の記事でしょう。
» 高田直芳の「ITを経営に役立てるコスト管理入門」:ITpro

原価計算の問題点

原価計算は、とても体系的で精緻で素晴らしい学問なのですが、実務では、致命的な問題を抱えています。

計算が煩雑すぎる

原価計算をするためには、データを集計しなければなりません。まず、これが面倒すぎます。普通の感覚なら、そんな暇があったら、仕事すればいいのに、となります。

さらに、集めたデータを基にして計算するのも、面倒です。

手頃なソフトウェアがない

今の時代、計算が大変なら、ソフトウェアにやらせればいいだろうと考えます。しかし、デファクトスタンダードになるようなソフトウェアがありません。特に、パッケージの市販ソフトがないのは困ります。

財務応援Lite スタンドアロン版例えば、財務会計をやりたい場合、手頃な値段で売れ筋の会計ソフトウェアは沢山あります。弥生会計とか、EPSONの財務応援Liteです。原価計算にも、こういったソフトがあればいいのですが。

サービス業の場合

原価計算は、製造業だけがやるものという既成概念が強いのですが、どんな業種でも、役に立つようです。少なくとも、税理士業を含むサービス業では、役に立ちます。他の業種として、コンサルタント、プログラマー、Webデザイナーなどが思いつきます。

ところで、サービス業には、製品1個なんて、ありません。どうやって計算するの?という疑問が生じます。ずばり、答は、時間です。

サービス業の一番大きな費用は、人件費です。人件費は、労働時間に比例して発生します。だから、時間を集計します。

時間さえ集計できれば、あとは、簡単な計算で済ませます。前期の決算書、各人の年俸と勤務時間を基にして、Aさんは1時間5,000円、Bさんは1時間7,000円、Cさんは1時間10,000円などと、事前に計算しておきます。この計算に、先ほどの原価計算の理論が役に立ちます。私がやっているのは、たぶん、全部標準原価計算です。適正利潤も原価に含めています。

時間の集計

時間×単価=原価

それなら簡単だ、と思えますが、一番の難関は、時間の集計です。従業員全員が、毎日、どの仕事に何時間費やしたかを集計しなければいけないのです。

全員が日報に毎日書けばできますが、多分、途中で嫌になります。私だって、そこまでしてやる気がしません。

話が飛びますが、コンビニのセブンイレブンだって、最初の単品管理は、POSシステムではなく、手書きだったと聞きます。が、今は時代が違います。よく言われることですが、ITは絵に描いた餅を実現することはできません。しかし、充分に実現可能であることを検証したシステムならば、手書きをすっ飛ばして、いきなりIT化することが可能です。

サイボウズ

データベースソフト、例えば、マイクロソフトのアクセスの使い方を覚えれば、原価計算ができると夢見て勉強していた時期が私にもありました。が、実現しませんでした。市販のパッケージソフトでなければ、ユーザビリティが悪すぎて全員で毎日入力するようになりません。必要最小限の労力で入力できることが求められます。

この解決策を探し求めて、たどり着いた結論が、スケジュール管理ソフトであるサイボウズです。
» かんたん安心グループウェア 「サイボウズ Office 7」

このソフトのいいところは、顧客の会社名を事前に登録しておき、それを選択して入力するところです。会社名が完全に同一になるので、会社名をキーにして集計できるのです。

余談ですが、今のところ、私達の場合、スケジュールの共有には使っていません。スケジュールは、カレンダー型のホワイトボードで共有しています。もし、書ききれないほど人数が増えたら、サイボウズへの移行を検討します。そうなればいいですけれども。

おわりに

ここまでは能書きです。知人からは、やり方を尋ねられたのでした。というわけで、次は具体的な手順を書きます。

The promised land
Jorge Tadao Sato 原価計算の約束の地へ

公開2008-12-09 会計