ぐいぐいと引き込まれる面白さがあります。日経ビジネスで、著者の話が面白いことを、既に知っていたので、買いました。それに、時流に乗ったタイムリーな出版です。

強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書 663)経済というのは、数字で表されますが、その実体は、人間の感情で動いていると思うのです。アメリカのサブプライム問題といっても、遠い国の話のような気がして、いまいち掴みにくいところがあります。しかし、この本で、ウォール街の人間の人となりを見聞きすれば、なるほど、これはひどい、行き詰まるのが当然だなあと感じます。

ただ、この本の欠点として、後半に進むにしたがって、話が大きくなり、著者の経済再生理論になってきます。これだけ、専門的な業界のレポートなのだから、日本の経済について持論を展開してくれなくてもいいですよ、と思います。この辺は、著者が書きたいことをそのまま書かせてしまった編集者の未熟さだと思います。テーマを絞ったままでまとめてほしかったです。

欠点も目につきますが、昔からウォール街を知っている日本人が、最近のサブプライム問題を語ってくれるというのは、とってつけたように浅い取材しかできないマスコミと違って、役に立ちます。

Sublime Moment
CreativeCommons Attribution License, James Marvin Phelps

公開2008-11-05 今まで読んだ本