このブログでは、会社を大企業と中小企業の二つに分類して、その違いを認識した上で、中小企業のあれこれを話題にしていこうと考えています。そこで、最初に、中小企業という言葉の定義を考えてみます。厳密ではありませんが、なんとなくイメージがわいて、共通の認識を持てれば幸いです。ちなみに、タイトルが結論です。
始めに枝葉の話です。こういってはなんですが、中小企業の定義に零細企業が含まれているのは、暗黙の了解事項です。零細企業と対比する言葉としては、中堅企業がありますが、数からすればほとんどの会社は零細企業です。ただ、零細という言葉は社長が自社を自虐的にいうニュアンスが含まれるので、外部の人間が話をするときは、例え零細企業を念頭に置いていたとしても、中小企業と言います。これは余談です。
会社法では、資本金1億円以上を大企業、資本金1億円未満を中小企業と定義しています。が、法律の話は面白くないのでこれだけにします。
最近読んだわかりやすい中小企業の定義は、こちらです。
中小企業は「大企業になれなかった失敗例」では決してないんだよ…
中小企業という括り方が「非・大企業」というだけの大雑把なものでしかない
かなりボリュームがある講義録ですが、ここではとりあえず、2つの中小企業が読み取れます。
- まだ大企業になっていない企業
- 規模の経済(スケールメリット)を必要としない企業
1.の企業は、現在は中小企業かもしれませんが、大企業を志向しています。ですから、その経営や会計などについては、中小企業の一般論は当てはまりません。典型的な例としては、株式公開を目指している会社、特にベンチャー企業です。また、大企業の子会社も、親会社と同じ大企業の論理で動いているので、当てはまりません。
2. の方が圧倒的多数です。わかりやすく言うと、大量の資金を必要としない商売。別の言い方をすると、ある程度の資金があれば競争力を維持できる商売は、中小企業になります。今風に言うとSOHO(スモールビジネス・スモールオフィス)です。例えばなにかのお店を開きたかったら3000万円位最初に用意できれば、始められます。店主が頑張って、その地域で評判になり、客の入りがよければ、それで幸せです。別に2店目、3店目と拡大する必要性はないのです。
時々、中小企業の社長さんで、うちは小さな会社で..と謙遜しておっしゃる人がいますが、その商売に必要な資金を用意できていて、競合他社と同じ水準以上の商品・サービスを提供できるのならば、謙遜する必要はないと思います。 いや、本当に謙遜しているわけではないかもしれませんけれども。
ところで、大量の資金を必要としない企業は全て中小企業ということになると、中小企業は、あらゆる多様性が含まれます。私もほんの一部しか知りませんが、本当にいろんな会社があります。単純に、いろいろな会社を知っていくだけでも、結構楽しいことです。「へー、こんな会社があるんだ」って。業種を超えていろんな会社に出会えることは、サラリーマンでは味わえない税理士業の醍醐味の一つです。
そして、中小企業をターゲットにして市場を制覇した会社がないのもこの多様性ゆえにと言われています。(もしあったら教えてください、興味あります) 税理士業界も一人の優秀な税理士事務所経営者が全国制覇することは未来永劫無理だと思います。この業界はまだ寡占にすら至っていません。群雄割拠状態です。だから、私どものような零細事務所でも、よそと同等以上の競争力があると自負しているのです、あ、話がそれました。
最後に、タイトルとは別の、もう一つの結論を述べておきたいです。
ベンチャーとSOHOは違う。
次回予告
中小企業の多様性のあたりから、企業は社長の人生そのものとか。大量の資金を必要としないというポイントから、中小企業が銀行から金を借りることの意義とか、どういう経営状態が理想なのかとか。と話を続けていけそうです。
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