インターネットは、見ようとしないと見えない世界である。「これからの時代は、インターネットだ」などと言ってみたところで、その人の言うインターネットが何を意味しているのかは、さっぱりわからない。
まえがき
そこで、適切な切り口で分類することによって理解しようとする。例えば、梅田望夫氏は、ウェブ進化論でネットのこちら側とあちら側という分類法を提示した。こちら側とは、インターネット利用者がいる物理的な世界。あちら側とは、ネット上に浮かぶ巨大な情報発電所とも言うべきバーチャルな世界。
あちら側とは違った切り口で一つの分類法を考えてみた。既出だったら、申し訳ない。
分類
インターネットの世界を、読み物の世界と商売の世界の二つに分類してみた。わかりやすくするために、思いついたWebサイトを書いている。
読み物の世界 | 商売の世界 | ||
---|---|---|---|
狭 ↑ 対象 読者 ↓ 広 |
はてブ人気エントリ Wikipedia 専門家ブログ |
上場企業HP 大手ネット通販 |
大 ↑ 経済 規模 ↓ 小 |
大手ニュースサイト ポータルサイト 個人ブログ |
楽天市場 ネットショップ 中小企業HP |
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個人ニュースサイト ミクシィ ニコニコ動画 2ちゃんねる |
情報ビジネス アフィリエイト -越えられない壁ー スパム |
読み物の世界とは
ネット中毒の人や、情報ジャンキーの人が、読んでいるもの。というと毒舌が過ぎるかな。インターネットが持つ情報発信、情報共有機能を信じている人が住んでいる。私も読み物が大好きである。
読み物の世界では、ページビューが非常に高い。しかし、それを金に換える交換比率は非常に低い。主たる換金手段は、Googleのアドセンス広告と、Amazonのアフィリエイトだ。膨大なページビューを得たWebサイトだけが、商業ベースに乗る。ほとんどの人は、趣味でやっている。
ネットベンチャー企業には、読み物の世界で勝負している会社が多い。当たれば大きいが、儲けるのは大変そうだ。コミュニケーション系Webサイトは、全て読み物の世界に属する。
ここで気がついたのは、梅田望夫氏が扱う話題は、ほとんど読み物の世界のことだ。梅田氏の言葉では、経済のゲームより知と情報のゲームとなる。
読み物の世界の価値は、金銭ではなく、情報そのものの価値にある。面白い情報、ためになる情報が、名誉・名声・権威を得る。その頂点は、はてブ人気エントリだ。ネット上で今注目の話題が毎日アップされ続けている。
注)2ちゃんねるにも、専門的な情報が沢山あることは充分承知しているが、誰でも簡単に参加できる点を重視して、一番下にしてある。上下に優劣の意味はないので、気にしないでほしい。
商売の世界とは
リアルなビジネスの延長線上にある世界。ネットで稼いでいる人達が住む世界。新規性はないかもしれないが、需要があり、購入する人がいる。
ページビューがそこそこでも、肝心なことは現実の利益につながること。読み物の世界とは比較にならないほど、換金比率が高い。1クリックで最低7円の価値がある。例えば、キャッシング、ダイエットなどのキーワード激戦区では1クリック数千円いくのだろう。
商売の世界の価値は、当然ながら、金銭にある。話題性やページビューは、そのための手段に過ぎない。
情報ビジネスなどのネット上の個人商売は、こちらが面白い。
解釈事例
この分類法を使って、いくつかの事例を解説してみよう。
例1.ブログは読み物の世界だから、それだけでは商売にならない
月刊ページビュー30万のアルファブロガー磯崎哲也氏が、こんな事を言っています。
ブログを始める前に妄想してたように、知らない人からも仕事がジャンジャンくる、というわけではない
アルファブロガーに聞く ~ 第2回 磯崎哲也さん – 毎日jp(毎日新聞)
例2.ブログ炎上も読み物の世界だから、それだけでは商売に影響しない
コンサルタントで実名ブロガーの吉田望氏は、自ら炎上させてしまったけれども、こんな事を書いてます。
これらの炎上の結果、私に何の影響があったのであろうか。実利ではほとんど影響はない。
私の「ブログ炎上」体験記 新潮45 2006年1月売 全文掲載 | Blog | nozomu.net – 吉田望事務所 –
例3.知識として知っていることと、それを商売として実行することは別
やっている事は、昔から知っているただのアフィリエイトなんですよ。 何一つ驚くところが見あたらない
スパムをやりたいかどうかは別として、私が一生努力しても、年収4000万には到達しないと思う。
例4.頼めば高いコンサルティングも、読むだけなら、無料か本代のみ
上場企業などのHPのユーザビリティをコンサルティングしているビービットという会社がある。推測だが、何百万円のコンサルティング料を支払って、数千万円の経済効果を得るというビジネスだ。しかし、ブログは無料だし、2,800円の本には、ノウハウが惜しげもなく書いてある。読んだ知識をどれだけ実践して、どれだけの経済効果を得るかは、読者しだいだ。
最後に
どのWebサイトがどこに分類されるかは、いろいろと意見があるだろう。重要なことは、二つの世界が、まったく違う価値観で成り立っていて、意識しないと隣の世界が見えないことだ。
この記事は、他所様のWebサイトにレッテルを貼るために書いたのではなく、自らの意識改革のために書いたものである。ネットは広いのだ。読んで知識を得るだけでなく、商売に実践していきたい。