ワープロと同じように、手軽にWebサイトの文章を書きたい。と以前から願い続けていた。それが最近やっとWordPressをカスタマイズして実現できた、と感じている。その長い道のりをちょっと振り返ってみたい。

ワープロ体験

1990年頃、高校生だった私は、親にワープロ専用機を買ってもらった。機種名は思い出せない。当時松下のシェアが高かったけれども、マイナーなソニーを選んだ。松下は8bitだったけれどもソニーは16bitだったのでキビキビと動いたからだ。プリンタは付属品でインクリボン式だった。印刷に時間がかかるので、充分に清書してからでないと印刷できなかった。ローマ字入力を覚えて、宿題を書いたり、日記を書いたりした。字が汚いことがコンプレックスだった私は、ワープロのおかげで文章を書くことを覚えることができた。

1995年、Word95とExcel95を含むOffice95がWindows95で登場した。その頃、PC業界では一太郎が敗れてWordがデファクトスタンダードとなった。現在から振り返えると、Wordが勝利した頃が、ワープロというソフトウェアの頂点だったのではないだろうか。Word95から現在のWord2007まで革新的な進歩はないといえる。代わってワープロ以外のソフトウェアが世の中で注目されるようになった。

1990年代、レーザープリンタが安くなってきた。ワープロとレーザープリンタがあれば、自由に文書を作ることができる。レイアウト、フォントの種類、見出しのスタイルなど、ワープロの操作以外にも覚えておいた方がいい知識は多少必要だけれども。

インターネット体験

ワープロの体験とは別にインターネットの体験を振り返りたい。Windows95は、OSとしてデフォルトでネット機能を搭載した。私がインターネットを始めたのは1997年頃だったと思う。自宅のアナログ電話をINS64に替えて夜11時からテレホーダイで通信していた。インターネットには夢中になったが、自分でWebサイトを作る気にはなれなかった。なにしろHTMLを勉強しなければならない、多少なりともUNIXサーバーやTCP/IPの知識を必要とする。当時ブラウザからソースをのぞいても全部<table>タグでできていて、どのタグをどのタグで閉じているのかさっぱりわからなかった。

2000年頃だろうか、WebサイトをHTMLとCSSで作るというのが普及してきた。これだと以前よりは論理的でちょっと覚えようかという気になった。しかし、実際には、ブラウザ間の互換性対策も必要だし、画像をPCで扱うこともできなければいけない。CSSの本を読んだだけでは自分でWebサイトを作るのは無理だった。

2002年、CGIのスクリプトを使って毎日ニュースを更新しているWebサイトがあった。なんとかそういうWebサイトが作りたいと探していて、MovableType (以下MT) Ver.2を発見したが、英語版のみで難しくてあきらめた。

ブログ体験

2004年、MTはVer.3になり公式に日本語化され、ココログが登場し、すぐさま雨後の竹の子のごとくブログサービスが乱立し、日本でもブログがブームになった。文章を装飾をしたり画像を貼り付けることは快適にできなかったが、文章を書くだけならば手軽にできるようになった。エディタで書いたものを流し込んで、公開ボタンを押せばいいのだ。しかし、小説を書いているわけではないので、文章だけではネット上では面白くない。

2006年、MTで使うTinyMCEというプラグインを発見した。これによってWYSIWYGな編集画面になり、大幅にワープロ感覚へと近づいた。この頃には、ネット上でワープロとまったく同じビジュアルで文書を作ることはナンセンスだと理解していた。WordをHTML形式で保存しても、大量の汚いHTMLコードがはき出されるからだ。結局、TinyMCEのようにHTMLのタグにある機能だけで文章を装飾するのが一番だろう。HTMLの主なタグは自然と暗記していた。

MTでは、再構築が不満だった。私は頭の中だけで文を推敲することができない。ワープロで文書を作る時には、何度も何度も印刷して修正してを繰り返す。本気モードの文書なら最低20回は印刷する。MTでは、書いた文書が実際にどのように表示されるのかは、再構築しないとわからない。ところが自鯖が古いPC(PenIII)だったので30秒以上かかる。 TinyMCEも最新のPCでないとキビキビ動いてくれない重いJavaScriptだ(Pen4初期型のPCでは重かった)。

2007年、Core2DuoのPCをそろえて、動的生成で再構築が不要なWordPressに乗り換えた。WordPressにはTinyMCEもついている。これでも、プラグインを探して導入実験をしたり、気に入ったテンプレートを探して自分でカスタマイズしたりと、大変に時間がかかっている。しかし、なんとか満足できるレベルで、文章を書くことに集中できる環境を構築できた。

まとめ

こうして、インターネットでWebサイトを作るのに必要とされる技術レベルが下がり続け、それとは逆に、私の習得した技術レベルは徐々に上がり続け、ついに必要な技術レベルを上回ることができた。そして、ここにブログを始めることができた。長い道のりだった。

今後も、この必要な技術レベルが下がり続けて、ワープロはできるけれどもブログはまだできないという人が、インターネット上にブログで思い通りに文章を書けるようになることを願う。

なお、文章を書く環境を構築することと、実際に文章を書くことは同じではないので、今後このブログの更新頻度が少なかったとしてもそれはまた別の問題である、といえよう。

後書き

自分語りの場合は、です・ます調ではなく、だ・である調になってしまった。この話の続きとしては、カスタマイズしたWordPressでどのような装飾や画像貼り付けができるのかを書きたい。

長文を最後まで読んでくださりありがとうございます。皆さんそれぞれに今に至るまでの道のりがあると思います。この記事を読んで懐かしく思い出したことがあればうれしい限りです。

Into the Storm
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公開2007-07-03 ウェブ