最初の問題提起
プロフェッショナル・サービスとは何か?
プロフェッションはどうあるべきか?
こんな問題をときどき考えます。税理士業は、サービス業の中でプロフェッショナル・サービスに分類され、プロフェッショナル・サービスを提供する人を一般にプロフェッショナルといいますが、正確を期するとプロフェッションといいます。この問題は、NHK プロフェッショナル 仕事の流儀をみると、人それぞれで結論がないとわかりますが、私なりに、ほんのさわりだけでも、入り口について考えてみます。
話の筋としては、まず、より一般的な意味を持つサービスについて理解して。その上で、普通のサービスとプロフェッショナル・サービスの違いを検討してみます。
普通のサービス
日本語でサービスというと、無料サービスを意味することがあります。しかし、無料サービスという言葉は欺瞞だと思います。無料もしくはできるだけ安くというのは究極の目標でしょうが、現実として、サービスを行えば必ず費用がかかりますし、結局のところ、その費用は別のところから回収されているのです。まぁ、無料の話はおいといて次に進みます。
おそらく法律では商売を大きく3つに分類します。物の売買、物の賃貸、役務の提供。サービスを日本語でいうと、役務の提供です。物の売買、物の賃貸以外のおよそありとあらゆるものが含まれます。
説明不足は承知ですが、次。
プロフェッショナル・サービス
一つ言えるのは、プロフェッショナル・サービスは、サービスの一つの分野であって、普通のサービスより上とか高級という概念ではありません。これは断言しておきます。サービスの内容とか性質によって分かれるだけです。
えーと、これから下記の本をもっと読んで勉強します。まだ充分に読み込んでません。
普通のサービスとプロフェッショナル・サービスの違い
普通のサービスとプロフェッショナル・サービスの違いについて、思うところを書いてみます。
普通のサービスは、その善し悪しを顧客が全て判断できるものです。例えばレストランをみると、顧客は料理の作り方はわからないかもしれませんが、その善し悪しは顧客が舌で感じたところで決めることができます。ウェイターの給仕が良いか悪いかは、顧客が快適に感じるか否かで決めることができます。そのサービスを生み出すためには深い知識と経験が必要でしょうが、最終的な結果は顧客が判断できるのです。
それに対して、プロフェッショナル・サービスは、顧客がその内容を全て理解して把握することができないものです。そのプロフェッショナル・サービスの過程だけでなく、結果さえも、良かったのか悪かったのか本当のところはっきりわからないことが多いのではないでしょうか。
例えば、税理士をみてみます。顧客は会計と税金のことがわからないから依頼をします。実際のところをもう少し詳しく説明すると、普通の人は、会計と税金のことなんて嫌いなのです。やりたくないのです。だから依頼をしてくれるのです。税理士は仕事の内容を隠してブラックボックスにしてる訳ではないですよ。普通の税理士は、むしろ逆に一生懸命説明しようとします。(これはよい分業)
もう一つの理由は、税務調査で税務署と相対した時に、第3者として助けてほしいからです。自分で自分を守ることは既にやっていることですから、それ以上に自分を守ろうとしたら、他人に自分を守ってもらうしかありません。裁判になった時に、弁護士を依頼するのも同じですね。
わかっているけど自分でやりたくないから依頼する場合は、プロフェッショナル・サービスにはなりません。建設業で下請けをプロフェッショナルといわないのは、元請けは下請けの仕事の出来映えを評価できるからです。
逆にいうと、プロフェッショナル・サービスを依頼する人は、そのサービスの善し悪しを本質的に見極めることができないけれども、依頼をせざるを得ない状況にいます。そのプロフェッションの外見で判断するしかないのです。ホテルの内装がよくて雰囲気がいいのは、それ自体がサービスとなります。プロフェッションである歯医者が内装を小綺麗にしているのは、だから熱心に経営しているのではないか、治療も上手なのではないかと連想してもらうことを期待しているのです。
今回の話の結論です。経済学用語でいうと、プロフェッショナル・サービスにおいては、プロフェッションと顧客の間に情報の非対称性があるといえます。端的に言えば、プロフェッションは、必要な情報と知識を持っていて、顧客よりも優位にあります。
次の課題
とりあえず順序立てて書いてみましたが、うーん、この切り口では、普通のサービスとプロフェッショナル・サービスの違いをきっちり説明しきることはできないかもしれません。難しいテーマです。
別な切り口で書き直すとすれば、プロフェッショナル・サービスは高度な知識と経験を必要とするが故に、属人的サービスとなり、プロフェッション個人にモラ ルと研鑽が要求される。それに対して、サービスは、分業・協業によって組織的な事業として提供することができる、なんていう説明もできそうです。
この話の続きとしては。顧客より優位にあるというのが、いいのか、悪いのか、何なのか、どうすべきなのか、等々。プロフェッションは、顧客に従属する関係ではなく、独立した存在になって、対等な関係を築けなければ、よいプロフェッショナル・サービスを行うことができない、云々。
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